近年、地方自治体のSNS活用が注目を集めています。
防災情報やイベント告知に限らず、市民との双方向コミュニケーションの手段としてSNSは大きな可能性を持っています。
しかし、ただアカウントを開設するだけでは成果は出ません。
タイミングやコンテンツの質、住民参加の促し方など、戦略的な運用が求められます。
本記事では、地方自治体がSNSを活用するうえでの基本的な考え方と成功のポイントをわかりやすく解説します。
自治体SNSの基本と役割を見直す
地方自治体SNSアカウントの目的とは
地方自治体のSNSは、単なる情報発信のツールではなく、信頼構築と市民参加の入口でもあります。
「誰に・何を・どう伝えるか」を明確にしなければ、フォロワーの反応は得られません。
防災や健康、子育てなどの身近なテーマを軸に、“必要なときに届く”発信を意識することが重要です。
役所が“話しかけてくれる存在”になることで、市民の親近感や協力意識も高まります。
目的を明確にすれば、投稿の優先順位や担当部署の役割も見えてきます。
有効な発信タイミングと内容
SNS運用で成果を上げるには、発信のタイミングと内容の精度がカギです。
たとえば、平日昼休み・夕方・土日の午前中など、市民がスマホを見やすい時間に投稿することで閲覧率が上がります。
内容面では、「〇〇の受付が始まりました」といった制度案内のほか、写真やストーリー性のある投稿がエンゲージメントを高めます。
季節感や地元ネタを取り入れることで、SNSが“生活の一部”として自然に溶け込みます。
アルゴリズムだけに頼らず、“人に届く発信”を意識することが肝心です。
危機管理・災害発信時のSNSの使い方
災害やトラブルが起きた際、地方自治体SNSの信頼性と即応性が問われます。
誤情報を防ぐため、発信前のチェック体制と統一フォーマットを整備しておくことが必要です。
事前にテンプレートやハッシュタグを決めておけば、いざというときに迷わず投稿できます。
また、X（旧Twitter）やLINEなど、速報性の高いメディアを組み合わせることで、住民の安全確保に貢献できます。
平時から「SNSで災害情報が届く」という信頼をつくっておくことが、非常時の効果に直結します。
市民とつながるSNS活用のアイデアと工夫
住民参加型企画の事例紹介
SNSを通じた住民参加は、地域とのつながりを強化する有効な手段です。
たとえば「#わたしのまちの風景」や「子ども食堂応援キャンペーン」など、市民が自発的に投稿したくなる仕掛けが好例です。
コンテスト形式で景品を用意したり、投稿が市のアカウントで紹介されることで、参加意欲が高まります。
投稿を通じて“地域を再発見する機会”をつくることもできます。
単なる告知ではなく、「市民が主役になる場」を設計することがSNS活用の本質です。
フォロワーを伸ばす自治体アカウントの工夫
フォロワー増加の鍵は、役立つ・親しみやすい・信頼できるの3要素です。
たとえば、長崎県平戸市のように職員が“顔出し”で情報を伝えるスタイルや、静岡県焼津市のようなユーモアある投稿が話題になっています。
他自治体の投稿と差別化するためには、「市の個性」「トーン」「投稿ジャンル」を明確にすることが大切です。
また、SNS限定の情報や先行発表を行うことで、フォロワーのメリットを高めることができます。
数字よりも“信頼されるフォロワー”の質を重視する視点も必要です。
他部門・外部連携で発信力を強化する
SNS運用を広報課だけに任せず、庁内全体で連携する仕組みが重要です。
たとえば、観光・防災・産業振興など各課の情報を連携させ、運用スケジュールを共有する体制が効果的です。
外部パートナー（地域メディア、企業、クリエイターなど）と連携することで、発信内容の質と拡散力が高まります。
SNS運用のPDCAサイクルを定期的に見直し、改善を積み重ねることが持続的な成長につながります。
チームでつくるSNS広報が、これからの地方自治体の主流になっていきます。
まとめ
地方自治体にとってのSNS活用は、単なる情報伝達を超えた“地域とのつながりづくり”のツールです。
戦略的に運用することで、市民の信頼を得るとともに、参加型のまちづくりを進めることができます。
有事対応や多様なコンテンツの発信、外部との連携など、やるべきことは多岐にわたりますが、着実な一歩が成果につながります。
今後は、SNS運用スキルや研修の内製化もカギとなってくるでしょう。
まずは自治体らしい“伝え方”を見つけ、SNSをまちづくりのパートナーに育てていきましょう。
株式会社STUDIO FOCUS
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